【越乃Shu*Kura】デビュー時の旅行商品担当者が語る

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「のってたのしい列車」とはJR東日本が運行している列車で、乗っている間に楽しい体験やサービスが受けられる、普段乗っている列車とはちょっと違う列車です。今回はその「のってたのしい列車」の中から「越乃Shu*Kura」をご紹介します!

「越乃Shu*Kura」は主に週末、新潟県内の様々な区間を走る列車で、車内では新潟県の地酒と食文化を感じる料理を味わうことができます。
そんな「越乃Shu*Kura」の魅力を知って、より楽しんでご乗車いただきたい!ということで、運行開始した当時「越乃Shu*Kura」を組み込んだ旅行商品の担当をしていた丸山さんにお話を伺いました。
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目次

■「越乃Shu*Kura」のデビュー前の話
・旅行商品造成を担当していた丸山さん
・「TOHOKU EMOTION」に続いて…

■「越乃Shu*Kura」が走る私の出身地・新潟県
・地元の人の協力
・パンフレットの制作について
・苦労したことは?
・「越乃Shu*Kura」発売開始
・運行後の苦労

■越乃Shu*Kuraのおすすめポイントをいろいろ聞いてみました!
・おすすめの停車駅
・意外なおすすめポイント
・おすすめの行程は?
・おすすめの景色は?
・おすすめの季節は?
・おすすめの沿線観光地

■最後に

「越乃Shu*Kura」のデビュー前の話

旅行商品造成を担当していた丸山さん

丸山さん

当時JR東日本東京支社のびゅう事業部という部署で働いており、2011年から旅行商品造成の新潟エリア担当になりました。


商品造成とはたとえば、JR東日本の新潟支社が契約した宿泊施設をJRのきっぷと組み合わせしたりして旅行商品として形作る仕事です。販売価格を決め、パンフレットのレイアウト決定や校正を行い、旅行商品をお客さまに提供します。


見やすく、わかりやすく、どう表現したらお客さまへ新潟の魅力を伝え足を運んでいただけるのか、パンフレットの作成にとても苦労した思い出があります。

「TOHOKU EMOTION」に続いて…

「越乃Shu*Kura」がデビューした2014年は、新潟県で春のDC(デスティネーションキャンペーン)が開かれた年でした。新潟のDCは「うまさぎっしり新潟」というキャッチフレーズで、「食」をメインに新米の獲れる「秋」に行われてきましたが、春に行われるのは初めてだったと思います。
このDCにあわせて、前年の2013年にデビューした「TOHOKU EMOTION」に続けとばかりに新潟でもイベント列車を走らせようとなったのです。

では、新潟は何だ?となった時にやっぱりお酒だろうということで、お酒をテーマにした列車にしたっていう話は聞いたことがあります。最近は日本酒が流行っていますけど、この頃、日本酒がブームになり始めるぐらいじゃないかなと思うんですよ。元々レギュラーパンフレットの旅行商品で「にいがた朝ごはん」と「にいがた地酒の宿」というプロジェクトをでやっていましたのでその流れもありました。
列車内で新潟県のお酒を楽しめる

「越乃Shu*Kura」が走る私の出身地・新潟県

お酒をテーマにした列車というのは面白いなあと思いました。ゆっくり新潟の景色を見ながら、海を眺めながらお酒をたしなむっていうものですから…。
しかも走る区間が、北陸新幹線の開業を控えた当時信越線の高田駅から十日町駅間を週末に1日1往復でした。私の生まれが高田なんですよ。走る路線も私が乗務員として乗務していたので、よく知っている景色を思い出しました。「ああ、新潟県内でも景色のよいところを走るんだ。」と思いました。

愛着ある地元を担当できるのは嬉しかったですね。新潟県生まれで、たまたま商品造成を担当したエリアが新潟。出身地のため、土地勘はありました。まったく知らない方面よりはやりやすかったです。非常にそういう意味では入っていきやすかったかなと思っています。
車窓を眺めながらお酒を楽しむ

地元の人の協力

お酒がテーマの列車ということで、沿線の酒蔵さんが協力して「越乃Shu*Kura」のラベルを貼った専用のお酒や、相性のいい料理も用意して…と、新潟の地のものを仕入れるようになって地元と一体となりましたし、みなさんで盛り上げてくださったところは感じました。まさに地産地消です。
地元の方や新潟支社の新潟県に対する想いっていうものがありますので、できるだけそれを商品に反映させるっていうところが1つの仕事です。どうやってその熱い想いをお客さまにたくさん届けられるか、そんな想いで私自身もやってました。
利き酒セットも楽しめる

パンフレットの制作について

パンフレットはJR東日本新潟支社から「TOHOKU EMOTION」のようなイメージで作りたいという意向がありましたね。他のパンフレットと違った雰囲気で、おしゃれな感じをイメージしました。ますは「越乃Shu*Kura」とはどういう列車なのかという列車の紹介から、沿線の観光情報を掲載し「越乃Shu*Kura」に乗るにはこの旅行商品を、という盛りだくさんの内容でした。

運転区間も少し特殊で、月に一度の週末は越後湯沢駅まで往復しました。新潟駅に足を延ばすようになるのはもう少し後です。そのあたりをわかりやすくお客さまにどう表現したらいいだろうか?っていうのは色々考えました。他にも座席のパターンも 3 パターンありましたし、紹介する内容は多かったです。

苦労したことは?

「越乃Shu*Kura」の最初の担当ですから、何もないところからスタートしなければいけないという、苦労がありました。基礎があればブラッシュアップしていく作業になりますが、本当に ゼロからスタートだったので…

旅行商品を造成することに関しては、例えば「越乃Shu*Kura」に乗車して宿泊はここの組み合わせで商品にできないか?など色々な組み合わせの要望があったりします。今でこそ、宿と列車の組み合わせが自由な「JR東日本びゅうダイナミックレールパック」で予約をし、別途予約した「越乃Shu*Kura」と一緒に旅行を楽しむことができますが、デビュー当時は行きから帰りまで全部セットにされたパッケージ商品でした。それをどのようにお客さまがご旅行しやすい、足を運びやすい行程にするかが大変でした。

パッケージ商品ということで、出発から到着まで様々なパターンのコースが多くできました。「越乃Shu*Kura」に乗ってから泊まるのか、泊まってから次の日乗るのかなど1 つのパンフレットですけど、すごく色々なパターンを詰め込んだようになっていましたね。お客さまが希望するコースに近づけるためにさまざまな選択肢を提供するところに少し苦労しました。

出発から到着まで「越乃Shu*Kura」を組み込んだコースであったこともあり、逆に現地発着プランの「越乃Shu*Kura」に乗るだけというプランに、予約が入ってました。東京からは日帰りコースのプランも人気がありました。本音を言えば新潟県内にも宿泊してほしいところですが…(笑)お客さまが自由に組み合わせたいとなると現地発着プランの利用になりますし、新潟県に住んでいる方にも多く乗車していただけました。
車内から見る日本海の夕日

「越乃Shu*Kura」発売開始

お酒がテーマの列車ということもあって結構珍しく思われたのか、発売開始になるとすぐ満席になる日がありました。週末の運転ということもあり予約状況を確認して、お客さまにご案内しやすいように定期的に販売店舗へ空席状況をお知らせしていました。

運行後の苦労

列車に乗ることが目的ですからね。列車の遅れや運休がないかとても気になりました。列車が遅れた場合、観光バスならば少し出発を遅らせたりして、乗り継ぎをできるように調整することができますけれど、列車の場合は新幹線が遅れても、列車はダイヤがあるから待っていることはできないので時間通りに出発しますからね。

それだけ苦労もありましたけど、今となれば長く多くのみなさまに乗っていただいてありがたい列車だなと思います。

「越乃Shu*Kura」のおすすめポイントをいろいろ聞いてみました!

食事メニューの一例

おすすめの停車駅

私が「越乃Shu*Kura」の行程の中で好きなところは青海川駅です。ホームに降り立つと本当に目の前はすぐ海で、波打ち際の音が聞こえます。特に十日町駅発の場合は時間がちょうど合うと日本海に沈む夕日を眺めることができるのです。夏には夕日が海に沈むと「ジュッ」と音が聞こえるかも?

実際に私が乗車したのは恥ずかしい話、試運転だったかという時に乗っただけなんです。運行開始後ではあったのですがなかなか機会がなかったのと、やはり自分が乗るよりお客さまにいっぱい乗っていただいた方が嬉しいので…自分の作った商品にお客さまが予約をして、旅行に行っていただけるっていうことは非常に嬉しいことですね。
青海川駅は海が目の前の波打ち際

意外なおすすめポイント

乗ってみると、意外とこっちの方がおすすめというのはありましたね。1号車にはシートのタイプが「らくらくボックスシート」と「展望ペアシート」と「くつろぎペアシート」3タイプあります。個人的な意見ですけども、2名でご利用される場合、「展望ペアシート」で海側を向いて眺めが良いのもいいのですが、「くつろぎペアシート」がおすすめです。

2人で申込の方は、まず「展望ペアシート」から予約が入ることが多いのですが、「くつろぎペアシート」や「らくらくボックスシート」は本当に長時間座っていても疲れず、座り心地が良いと思いました。他にも椅子の広さとか両側が区切られている感じとか、落ち着いてゆっくりできる雰囲気がありますね。
1号車には3タイプの座席

おすすめの行程は?

やっぱり「越乃Shu*Kura」に乗ってから、温泉に泊まった方がいいのかなと思います。ちょっと列車で飲んで、お宿に入って、じゃあ本格的に飲み直すじゃないですけれども(笑)翌日も新潟を満喫して帰路につくというパターンがおすすめです。

おすすめの景色は?

おすすめの車窓は直江津を出てから柏崎までの海沿いです。直江津駅を出発して海岸の松林に沿って走っていきますと、潟町駅に停まります。潟町には鵜の浜温泉という小さい温泉があり、毎年夏には海水浴客で賑わうところです。

柿崎駅を過ぎると日本海が広がります。日本海っていうと皆さんやっぱり冬の荒れたイメージですけれど、夏はとても穏やかな海です。晴れた日には、沖に浮かぶ「佐渡島」を眺めることができるかも知れません。

青海川駅前後あたりはちょっとトンネルが多いですけれども、柏崎駅の手前まで海は続きます。柏崎駅を出ると山越えをして、田園風景が広がって、信濃川を渡って長岡駅に着きます。海・山・平野、新潟のすべてが満喫できる風景です。

おすすめの季節は?

やはり海沿いは夏がいいですね。春の雪解けもいいんですけれど…うーん。でもやっぱり秋はいいですね。稲穂の実りのと紅葉の山々が綺麗ですよ。ただし、冬は運休していますから、雪見酒は残念ながらできません…(笑)

おすすめの沿線観光地

美人林(5月頃)
「越乃Shu*Kura」の沿線エリアで言ったら清津峡や、美人林です。
清津峡のトンネルを綺麗に整備したんです。とことこ暗いトンネルを歩いていくと、ポッカリと明るい空間にあたります。そこには渓谷の雄大な景色が絵画のように広がっています。

「美人林」と呼ばれるブナ林は、春の芽吹き、夏の鮮やかな緑、秋の紅葉がいずれも甲乙つけがたい空間です。森林浴で日頃の疲れを癒してください。

最後に

非常にいい時期に新潟担当で色々な商品に携わらせてもらいましたが、「越乃Shu*Kura」は本当に思い入れが強いですね。「越乃Shu*Kura」がお客さまに受け入れられて成功したからこそ、この後「フルーティアふくしま」や「とれいゆつばさ」など「のってたのしい列車」が出てきたんではないかなぁ、と思います。

「のってたのしい列車が」1つのカテゴリーとなっていったのは「越乃Shu*Kura」がその先駆けと言えると思います。それに携われたことは非常に幸せでした。この経験が活きて、北陸新幹線開業の商品造成にも対応できたんじゃないかなと思います。

私も最初に「TOHOKU EMOTION」があったので、「料理だけじゃなく、お酒をメインにした列車を走らせる」と新潟支社から聞いた時、やっぱり新潟は地酒なんだなぁと思いました。「越乃Shu*Kura」を商品化する責任と不安もありましたが、花開いたような感じになったのは非常に嬉しいですね。

デビューから約10年これだけ長く続くということはそれだけ多くのお客さまに乗っていただいているって事なんですね。非常にありがたいことだと思います。

「越乃*Shukura」をご利用するなら「のってたのしい列車予約サイト」へ!

今後も「越乃*Shukura」の魅力に迫った記事や、他の「のってたのしい列車」に関する記事の掲載も予定しています。ぜひお楽しみに!

※「越乃*Shukura」の食事付旅行商品は2022年4月より、Web予約限定となりました。
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