まるでテーマパーク!?一日中楽しめる酒蔵 ~青梅線沿線の酒蔵 石川酒造~

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石川酒造さまにインタビュー

Q.石川酒造の歴史を教えてください

A.創業が1863年、文久3年と言われている年で、時代感でいうと、京都で浪士組が新選組に名を変えた年と同年です。幕末の時代感がわかるかと思います。多摩川の対岸に森田酒造というところがあり、そこの蔵を借りて酒造りを始め、明治自体に現在の場所に蔵を建て、本格的に酒造を始めました。現当主は18代目ですが、お酒造りを始めたのは13代目からです。来年2023年で160周年を迎えます。
酒造り以前は農業を主に行い、庄屋として村のまとめ役を担っていました。農業の他、鮎の献上役として、熊川村と拝島村と日野の方の三つの村で鮎をとって江戸まで献上するお役目や石灰や織物の物流の商売をしていたというのが石川家の歴史です。南田園、北田園と今でも地名に残る通り、この地域は田園でしたが、その余剰米を使って酒造りを始めたと言われています。創業からしばらくは、農業が中心で酒造りは副業でした。

Q.石川酒造のこだわりは?

A.飯米を使ってやるのが特徴の一つです。全国どこの蔵でも使いはするものの、なんとなく「かっこ悪い」というか、コストカットのイメージが強いのですが、うちではあえて飯米を多く使っています。なぜ飯米がよしとされないかというと、米粒が小さいということが挙げられます。例えば酒米の山田錦と飯米のコシヒカリだと大きさが全然違いますね。磨いていくと真ん中に良質な澱粉質が多く含まれているのですが、小さい粒だと割れてしまったりします。なので、酒米は最大35%まで磨くところ、飯米は最大60%までしか磨かないんです。
うちの杜氏は全量飯米にしたいと言っているくらい飯米の方が作っていて面白みがあると思っています。酒米は綺麗な味わいが出来やすいですが、飯米だと発酵の管理などで様々な味わいが出ます。敢えて雑味や(雑味といってもアミノ酸由来の旨味でもある)、旨味の濃いお酒、というのが特徴になります。

Q.今年のお酒造りのコンセプトを教えてください!

A.雑味や酸味が出やすい。米を飲んでいる感じのお酒、というのが今年のコンセプトです。うちの酒造りの醸造の精神というのが、「華やかな食卓を陰で支える酒造り」。というのも、お酒は飲まなくても生きていけるのですが、食卓にお酒があることで、コミュニケーションが生まれたり、楽しい食卓になればと。なので「食事に合う」ではなく、「食事に寄り添う」お酒を目指しています。杜氏の言葉で言うと、「うちのお酒は月曜から木曜のお酒でいい」と。

Q.酒造りのコンセプトは毎年決めているのですか?

A.思いつきですね。(笑)うちの社訓は「こだわることなかれ」。悪くいうと好き勝手やらせてもらっています。今年のお酒どうする?と立ち話やラーメン屋で話したりすることもあるくらい、自分たちで色々なことを決めて楽しく造らせていただいています。
「多満自慢」は「多摩地域の多くの人の心を満たす」ことにより、地域の自慢になるお酒という意味ですが、普段から使っていただきたい、という思いは昔から変わりません。品評会などしっかり賞をとりにもいきますけどね。

Q.お酒に合うおすすめの料理は?

A.米由来の旨味や甘味や非常に濃いので、お米のおかずなら何でも合うと言えます。餃子、麻婆豆腐、カレーライスハンバーグ、なんでも大丈夫です。必ずしも、毎日毎日、華やかな料理とフルーティなお酒を飲むわけではないと思います。今日は面倒くさいから納豆ご飯でいいや、という時にも寄り添えるのがうちのお酒だというのが最大の特徴です。
お味としては、甘めでも酸が高く旨みが濃くどっしりとしています。昔は辛口信仰が強かったのですが、今は甘いが旨いの時代になり、時代が追いついてきて、今の杜氏は特に甘めを好んで作っていますね。日常に寄り添いたいと言う思いは昔から変わりません。

Q.美味しい飲み方の方程式は?

A.飯米仕込みの旨みや甘味のあるどっしりとした味わいのものは、冬はお湯割りにするとゆっくり味わえて美味しいです。また、香りの成分と関係が強くて、キラキラジューシー系はワイングラスがおすすめ。ぐい飲みや猪口でも良いですが、香りを楽しみたい場合はグラスが良いですね。舌先の感じ方が変わってきます。何が良いとは言い難いですが、独自に好きな飲み方を見つけてもらいたいです。例えばリンゴ酸高生成酵母使用のシリーズなどは凍ったフルーツにかけると美味しいと、お客さんに教えてもらいました。このようなお酒は日本で十蔵も作っていないと思いますが、日本酒の苦手な方に新しい飲み方を、ということで開発されました。

銘酒「多満自慢」

銘酒「多満自慢」は、「多摩の心をうたいつつ、多摩の自慢となるよう、多くの人たちの心を満たすことができたら」という願いをこめて命名されました。
お酒造りに使用する仕込み水は、敷地の地下150mより汲み上げる東京の天然水(中硬水)。蔵人たちが丁寧にそれぞれの工程を責任もって担当することで、銘酒「多満自慢」ができあがります。

多摩の美酒と絶品イタリアンを満喫♪

石川酒造外観
イタリアンレストラン「福生のビール小屋」
石川酒造の直売所や併設のレストランでは、丹精込めて造りあげた地酒やビールをはじめ、蔵元限定のお酒などをどこよりもはやく味わうことができます。
また、テーマパークのような敷地内は自由に散策でき、地元の方がジョギング途中に寄って売店でビールを買い、井戸のそばのベンチで飲んでいる様子もよく見かけるそうです。色々な楽しみ方ができる石川酒造で、素敵な時間をお過ごしください♪
石川酒造株式会社
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