湯守に聞く「地・温泉」の魅力 第13弾【越後長野温泉 嵐渓荘】

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「THE ONSEN」の魅力に迫る!

旅行の楽しみといえば、その土地ならではのグルメや季節ごとに表情を変える絶景、あとはやっぱり「温泉」ですよね!東日本各地に「地・温泉」と呼ばれる、その地に根差し地元の人に昔から愛されてきたお湯があることはご存知でしょうか?かつては湯治場として、そして現在も人々を癒す温泉宿の数々。身も心も温まる「地・温泉」の魅力をインタビュー形式でご紹介します!

「湯守」とは…

「お湯を守る」と書いて「湯守(ゆもり)」。言うなれば、温泉の管理人です。お湯の量や温度などを管理する役割を担っています。本企画で紹介する「地・温泉」の湯守たちが誇る、各地に根付いた伝統的なお湯は長い歴史の中で彼らによって守られているのです。

新潟の山里にある秘湯「越後長野温泉 嵐渓荘」

連載企画「湯守に聞く「地・温泉」の魅力」第13弾としてご紹介するのは新潟県の「越後長野温泉 嵐渓荘」。湯守の大竹さんにお話をお伺いしました。
玄関
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燕三条、下田郷の豊かな自然に囲まれた温泉宿

里山の豊かな自然に囲まれた嵐渓荘
ー嵐渓荘があるのは、新潟県三条市、そしてその東部に広がるのは豊かな自然が残る里山、下田郷。宿周辺にはどのような魅力があるのでしょうか?

湯守 大竹さん
「ものづくりで有名な「燕三条」の市街地から清流五十嵐川を渡り山間に向かうと、急に風景がかわり「下田郷」がはじまります。火焔型土器が出土する土地柄で、山と川の恵みは現在も非常に豊かで、宿の料理にはその魅力を盛り込むようにしています。
燕三条エリアのオープンファクトリー(大人の工場見学)施設を楽しんだり、snowpeak社の本社とキャンプフィールドもあり、渓流釣り、サイクリング、トレイル、ラフティングなど本格的なアウトドアも楽しめます。」
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嵐渓荘の温泉

ー嵐渓荘で楽しめる温泉の特徴や魅力を教えてください。

湯守 大竹さん
「嵐渓荘の温泉は、湧出温度が16℃と低い強食塩冷鉱泉です。冷鉱泉ながら溶存物資が10g/kgを超えており、実際の湯感も濃厚さを感じます。
湯温は長湯ができる40度程度に調整しています。また塩泉ですのでよく温まりますし、pH7.7の弱アルカリ性で炭酸水素イオン成分も含まれているため、湯上がり後の肌触りがとても気持ち良いです。
また、口に含むと塩味のほかに不思議な旨みも感じる湯の味です。ラウンジで源泉で焙じ茶を湧かしたり、朝食に温泉粥をお出ししたりしてその味も楽しんで頂いております。」
婦人大浴場

絶景の露天風呂を貸し切りで満喫!おすすめを紹介

ー大浴場のほかに、無料の貸切風呂「山の湯」には2つの浴場があるそうですが、それぞれの見どころやおすすめポイントを教えてください。
貸切風呂「山の湯」の(左)深湯(右)石湯
湯守 大竹さん
「「山の湯」には〈石湯〉と〈深湯〉があります。それぞれ内湯と露天からなる浴室で16:00~翌朝まで貸切利用できます。宿泊する全組のお客さまにまず一回は貸切入浴いただけるように時間調整しています。その後深夜からは、鍵が浴室前にあれば入浴できるフリー貸切となります。」
冬には雪見風呂が楽しめます
「露天の造りは、〈石湯〉は宿の敷地で一番高い場所にありまして、清流・守門川をみおろす渓谷美をお楽しみ頂けます。〈深湯〉はその名の通り水深130㎝の露天風呂で、独特の浮遊感を味わいながらせせらぎの音とともに湯浴みをお楽しみいただけます。」

国登録有形文化財の「緑風館」に泊まる贅沢

客室の窓からは自然の美しさに癒されます
ーお湯の魅力はもちろんですが、国登録有形文化財になっている本館「緑風館」に宿泊できることも、嵐渓荘ならではですよね。昭和初期の建物だそうですが、どのような雰囲気・特徴がありますか?見どころ等を教えてください。
かつて燕駅近くの料亭旅館として建てられた「緑風館」
湯守 大竹さん
「「緑風館」は昭和初めに燕駅前に建てられた料亭旅館を、昭和30年頃に移築した建物です。木造三階建、建築面積140㎡、入母屋造鉄板葺で、頂部に望楼を載せいてそれが建物の特徴となっています。外壁は簓子下見板張。各階に庇を廻らせており、内部客室は部屋ごとに座敷飾りの意匠を違えています。当時のアールデコ(シンプルで合理的な幾何学図形をモチーフとする)の影響も建具類の一部にみることができます。」
客室 緑風館3階「つた」
「どの部屋も窓が大きめにとられており、燕駅前にあったときには越後平野のど真ん中に建つ背の高い建物で、弥彦山など平野をとりまく遠くの山々を見渡すことができたそうです。」
季節の景色を楽しむことが出来る、ロビーの大きな窓
「嵐渓荘では「緑風館」を基調に館内施設を拡充してきました。本格オーディオが静かに響くラウンジや、また前庭や中庭なども寛ぎの空間として憩えるようにリニューアルし続けています。」

嵐渓荘の「山里会席」とは?

美食旅プランの一例
ー地のものを生かした「山里会席」ではどのようなお料理をいただけるのですか?また、中でもおすすめのメニューはありますか?

湯守 大竹さん
「嵐渓荘では、1980年代になってから板前料理を提供するようになりました。それまでは家族経営で地元の郷土料理を提供していました。昔ながらの郷土料理をベースに、奇をてらわず素材の美味しさを素直に味わっていただける料理を目指して日々精進しています。
献立の定番は「ぜんまいの一本煮」「鯉の洗い」です。食材の選定や取扱い、調理にこれまで積み重ねてきた知恵と工夫があり、素朴な料理ですが「またあれが食べたい」とお客さまに請われる料理です。」
地のものをふんだんに使った板前料理
「リピーターのお客さまも多いので季節ごとに楽しんで頂けるように、山菜づくしや鮎づくし、きのこ料理、鍋料理などいろいろとご用意いたしております。
料理が美味しい理由は、水にあると思います。嵐渓荘では山の湧き水「真木の清水」で全て調理しています。」

湯浴みだけではもったいない!高濃度源泉の力を実感

名物の温泉粥の味付けは源泉のみ!
ー源泉をお風呂として楽しむだけでなく、おかゆや化粧水、かつては薬としても活用されていたのですよね。源泉の力について教えてください。

湯守 大竹さん
「源泉の井戸の深さは約100メートルあり、地質調査によると古代海の砂と有機物を含んでいたであろう泥が多層に重なる地質。源泉を煮詰めると「山塩」の結晶が析出されます。高張性の療養泉に分類されており、成分の濃さを実感できる源泉です。ヨウ素や炭酸水素イオンも含んでおり、殺菌や美肌の力をもっているようです。昔は火傷の薬として販売されたり、現在は国産オーガニックハーブと調合された化粧水を提供しています。

また、苦みや匂いなどがなく、逆に旨みのようなものを感じる味がする源泉ですので、焙じ茶をわかしたり、朝食のお粥を炊いたり、また近所の食堂では「山塩ラーメン」の塩ダレに嵐渓荘の源泉を煮詰めて使用したりしています。いずれもご好評いただいております。」

四季折々、自然の美しさを体感できる宿

ーこれから紅葉の秋、雪の冬を迎えますが、季節ごとのおすすめの過ごし方や周辺散策について教えてください。

湯守 大竹さん
「四季を五感で体感できる宿です。秋には虫の音と色づく庭の木々や秋の花々、冬には豪雪地帯の圧倒されるような雪景色をお楽しみいただけます。敷地は3000坪ありますが、客室は16室しかありません。宿のまわりは自然の散策路です。敷地内の机山には登山道を整備しており、30分ほどで見晴らしのよい頂上にたどりつけます。」
宿のすぐそばで紅葉狩りも楽しめる
「1月後半から2月いっぱいは、前庭に雪行燈(あんどん)にろうそくの灯りをともします。お風呂は大浴場も貸切風呂も深夜まで御入浴いただけますので、なんども湯浴みをお楽しみいただけます。1階のラウンジには本格オーディオをご用意してありますので、レコード試聴やゆっくりと読書にひたることができます。」
銀世界にあたたかなろうそくの明かり
秋には美しい紅葉の中を散歩し、冬には雪見風呂やかまくらの中で甘酒・地酒を楽しむことが出来ます。また、春には桜、夏には川遊びなどもおすすめです。四季を通じて様々な楽しみがあるのが魅力的ですね。
(左)川遊び(右)春には桜も楽しめる

湯守のこだわりとは?

ー最後に、湯守としてのこだわりや思い、お客さまへのメッセージをお願いします。

湯守 大竹さん
「昔ながらの温泉宿の風情、手足を伸ばして寛げるおおらかな雰囲気を大事にしています。
気持ち良いお風呂、身体が喜ぶ美味しいお料理、のんびりできて使い勝手のよいシンプルな客室。そしてお客ざまが気を張らずにお過ごしいただける素朴なおもてなし。一人でも家族でも、仲間とでもその旅の目的にあわせて楽しんで頂ける宿。季節を変えてなんども訪ねてみたい宿。そんな宿を目指し日々精進しております。
皆さまのお越しを心よりお待ち申し上げます。」
山の湯 石湯の秋の絶景

「越後長野温泉 嵐渓荘」へ

いかがでしたでしょうか?今回は新潟県の「越後長野温泉 嵐渓荘」について、詳しくお話をお伺いしました。かつては薬としても使われた効能豊かな温泉や、国登録有形文化財にもなっている緑風館の趣、そして周囲を取り巻く新潟の自然が迎えてくれる「嵐渓荘」へ、ぜひ足を運んでみてください。
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◆次回予告◆

連載、湯守に聞く「地・温泉」の魅力 では、今後も東日本の「地・温泉」の魅力を皆さまにお届けします!次回以降もお楽しみに♪
「地・温泉」について、詳しく知りたい方は下記のリンクボタンよりご確認ください。
JR東日本HP「地・温泉」
取材協力:嵐渓荘
※画像はすべてイメージです。

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