栃木県足利市にある日本ワイン醸造所。日本の葡萄を100%使用する【ココ・ファーム・ワイナリー】

  • 栃木
  • 食べる

日本の葡萄を100%使用、日本ワインを醸造する                 こころみ学園 ココ・ファーム・ワイナリー

こころみ学園 ココ・ファーム・ワイナリーのあゆみ

職員 池上さんにインタビュー!!

-池上さん
昭和33年(1958年)、栃木県足利市田島町の山に中学の特殊学級の教員だった川田昇と、特殊学級の子どもたちが中心となり開墾されたのがこころみ学園の葡萄畑のはじまりです。その土地は平らな農地でなく、平均斜度38度の急斜面3haの足利の北の山で、約2年がかりで開墾までたどりつきました。

その葡萄畑の麓に昭和44年(1969年)、知的障害者支援施設「こころみ学園」を設立。こころみ学園の葡萄畑の急斜面は、日当たりや水はけの良さから葡萄の生育によいだけでなく、障害を持ってかわいそうと過保護にされ、あてにされることもなかった子どもたちにとっても、また知恵が遅れているから何もできないと思われ、何もやらせてもらえなかった少年たちにとっても大切な役割を果たしてきました。赤ん坊の手のようだった少年たちの手は毎日葡萄畑にいるうちに、たくましい農夫の手になりました。
ワインを造り、障害を持った子どもたちに1人前になってほしいという思いから、昭和55年(1980年)にこころみ学園の考え方に賛同する父母や保護者たちの出資により、有限会社「ココ・ファーム・ワイナリー」を設立。1984年に醸造認可がおり、1989年には、カリフォルニアよりブルース・ガットラヴを招聘し、より本格的なワイン造りを目指すようになりました。

現在は、栃木県足利市や佐野市の自家畑の他、全国の契約栽培農家さんたちの協力を得て、日本の葡萄100%の日本ワインを造っています。

こころみ学園 ココ・ファーム・ワイナリーの特徴

味の特徴

-池上さん
適地適品種でつくられる日本のぶどうのテロワールを活かし、野生酵母で発酵を促すことにより、滋味深く、余韻が長いワインを目指しています。

ワイン造りに込める思い

葡萄を大事に育てるために
園生たちが丁寧に作業中
-池上さん
自家畑では開墾当初から除草剤を撒かずに一つ一つの葡萄の声を聴いてきました。そして、葡萄がなりたいワインになれよう園生含めワイン造りに携わってきました。
また、こころみ学園の園生たちが輝き続けられるよう、障がい者が造ったからと同情で買ってもらうのではなく、彼らが造るからこそ美味しいものにすることにこれからも力を入れていきたいです。

今年の葡萄の特徴は?

一房一房を大切に
醸造中のワインがならぶセラー
-池上さん
自家畑のプティ・マンサンは例年悩まされる晩腐病も少なく、とても良いコンディションで収穫することができました。反面、ムクドリの被害で収量が激減してしまったり、天候不順で赤ブドウの着色不良が目立つ品種もありました。葡萄と向き合うことは自然と向き合う事に等しく、すべて良い、もしくはすべて悪いといったことはごく稀で、悲喜こもごもというのが常であると感じています。

ココ・ファーム・ワイナリーおすすめワイン

農民ロッソは人気がありますよね?

-池上さん
たくさんの方に飲んでいただいており、とても嬉しく思っています。このワインもこだわりを持ってやってきました。全国の契約栽培農家さんの葡萄を集めて1つのワインにしています。手が届きやすい価格帯のワインですが、手を抜かずにしっかり造ったのが「農民ロッソ」です。
ワイン造りは子育てに似ていて、一人息子を大事に育てるようなこともあれば、たくさんの子どもたちの意見を聞いて、調和をとるとこもあると思っています。今後もみなさまに喜ばれるワインを園生と一緒に造っていきたいです。

農民ロッソの他にも!!

北ののぼ(スパークリングワイン)・陽はまた昇る(赤ワイン)

北ののぼ(スパークリングワイン)
陽はまた昇る(赤ワイン)
-池上さん
その他におすすめのワインが、「北ののぼ(スパークリングワイン)」・「陽はまた昇る(赤ワイン)」です。

北ののぼ(スパークリングワイン):「北ののぼ」のキュベ(原酒)は、北海道・余市の契約栽培農家・木村さんのピノ・ノワールやシャルドネやピノ・ムニエから、10Rワイナリーでブルース・ガットラヴ(ココ・ファーム・ワイナリー取締役)が造りました。そのキュベを足利の醸造場に運んで王冠ビン詰めし、ビン内二次醗酵させ、長期間寝かせた後、全て人間の手でルミュアージュやドサージュなどを行いました。冷涼な気候を反映して、このスパークリング・ワインの名前は「北ののぼ」。美しいピンク色のロゼスパークリング・ワイン「北ののぼロゼ」もあります。

「陽はまた昇る(赤ワイン)」:2011年、東日本大震災の年に登場した赤ワインです。山形・上山、長野・高山、栃木・足利などの完熟した葡萄が原料です。優しさと力強さを兼ね備えたこの赤ワインの名前は「陽はまた昇る」。私たちの万感の思いを込めたワインの名前です。朝のこない夜はない、冬来たりなば春遠からじ・・・といった想いが込められています。

ココ・ファーム・ワイナリーのこれから

来年で40年目の節目の年

-池上さん
40年という年月はワインの起源と比べたら、まだ生まれてもいない「殻の中から卵を突ついているような状態」だと感じています。将来のビジョンを語るにはまだまだ未熟ですし、振り返れるほどの歴史があるとも言えない我々ですが、一つ一つの出会いを大切にし着実に歩みを続けて行けるようなワイナリーでありたいです。

お客さまに向けて

-池上さん
コロナ禍や物価高という大変な世の中になっていますが、皆様のおかげでワインを造り続けることができています。本当にありがとうございます。願わくば、今後とも皆様の日常の喜びの時や悲しみの傍らに寄り添えるワインとして末永くお支え頂きたく存じます。
ココ・ファーム・ワイナリー公式ホームページ
この記事に関連するタグ
前の記事 一覧へ戻る 次の記事