【柏むかしばなし】のゆかりの地を巡ろう!!~空を飛んだ観音さま~

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写真提供:柏市観光協会

柏むかしばなしとは

柏市には、各地域に伝わる「むかしばなし」が数多く存在し、確認しただけでも50以上にのぼります。昭和60年に発行された「柏のむかしばなし」、昭和56年、平成元年に発行された「沼南風土記(1)(2)」、など様々な資料から44話を柏市観光協会のホームページにて紹介しています。今回は「空を飛んだ観音さま」の記事をご紹介いたします。
ぜひ皆さんも、市内各地域の「むかしばなし」の舞台を訪ねて、むかしの人たちの暮らしや文化に思いをむかしの人たちの暮らしや文化に思いをはせてください。

空を飛んだ観音さま

写真提供:柏市観光協会

むかし布瀬(ふぜ)村に与右衛門(ようえもん)という人がいました。家の近くに井戸があったのですが、ある日、その井戸から光かがやく一寸八分(いっすんはちぶ)ほどの観音さまが見つかりました。
与右衛門(ようえもん)は「これはありがてぇ、ありがてぇ」といって、近くの仁右衛門(にうえもん)が持っていた堂屋敷(どうやしき)と呼ばれる森の中に小さなお堂をたてて観音さまをまつりました。
この観音さまは安産のご利やくがあり、遠くからもおまいりにくる人がいるほどでした。
ところがある日、お堂が火事になってしまい観音さまが行方不明になってしまったのです。
あるものは「観音さまは与右衛門(ようえもん)の家の北東の方角に飛んでいったぞ」といいましたが、そのゆくえは全くわかりませんでした。
5年ほどたち、もうあきらめてしまったころ、谷中(やなか)村(現茨城県稲敷市)の武左衛門(ぶざえもん)という人から連絡があったので、たずねて話しを聞くと
「5年前のある日のこと、いきなり部屋に光りかがやく観音さまが飛びこんできただよ。その後ありがたくまつっていたが、布瀬(ふぜ)村で観音さまが行方不明になったと聞いて知らせただ。」
というのです。与右衛門(ようえもん)がその観音さまを見たところ、まちがいありません。あの井戸から見つかった観音さまです。

写真提供:柏市観光協会

「元は布瀬(ふぜ)村の観音さま。どうぞ持ちけぇって、また布瀬(ふぜ)村でおまつりしてあげてくだせぇ。」

「それはありがてぇ。村のしゅうもたいそう喜ぶにちげぇねえ。」
布瀬(ふぜ)村ではお堂を新しくたてかえ、ふたたび観音さまをおまつりしました。
その後二度と観音さまは空を飛ばなかったそうです。
現在、お堂の中にはおすわりになった観音像をおまつりしてありますが空を飛んだ観音さまは、そのおすわりになった観音像の中におさめられています。

柏 むかしばなし公式ホームページ
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