湯守に聞く「地・温泉」の魅力 第21弾【四万温泉 鍾寿館】

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「THE ONSEN」の魅力に迫る!

旅行の楽しみといえば、その土地ならではのグルメや季節ごとに表情を変える絶景、あとはやっぱり「温泉」ですよね!東日本各地に「地・温泉」と呼ばれる、その地に根差し地元の人に昔から愛されてきたお湯があることはご存知でしょうか?かつては湯治場として、そして現在も人々を癒す温泉宿の数々。身も心も温まる「地・温泉」の魅力をインタビュー形式でご紹介します!

「湯守」とは…

「お湯を守る」と書いて「湯守(ゆもり)」。言うなれば、温泉の管理人です。お湯の量や温度などを管理する役割を担っています。本企画で紹介する「地・温泉」の湯守たちが誇る、各地に根付いた伝統的なお湯は長い歴史の中で彼らによって守られているのです。
源乃湯

静かな宿で温泉と自然を満喫できる「四万温泉 鍾寿館」

今回紹介するのは、首都圏からアクセスのよい温泉県で知られる群馬県にある「四万温泉 鍾寿館」。ロビーで保護猫の看板猫のラッキーちゃんが出迎えるこちらのお宿はゆっくり温泉を楽しむのにとっておきの宿なんです。
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胃腸の名湯と言われてきた

ー楽しむことのできる温泉の特長や効能などを教えてください。

湯守 田村さん
泉質は、ナトリウム、カルシウム、塩化物、硫酸塩泉です。古い表現だと、石膏・食塩泉と言われていました。無色透明、無臭です。源泉は、旅館の建物の敷地内で自然湧出しているため湧出場所から、お風呂までがとても近くに位置しています。すなわち、お風呂に注がれている温泉水が新鮮だということです。温泉水は生もの(なまもの)のようなもので、湧き出してから、時間とともに成分の比率や性質が変化すると考えています。湧きたての温泉水は成分分析書の通りのパフォーマンスがあるのです。この新鮮で額面通りの効能がある温泉が特徴です。体感的には、肌触りが優しい温泉です。分析書には様々な効能が示されていますが、昔から、お客様には「胃腸の名湯」と、言われてきました。

ー館内には内湯・露天風呂など合わせていくつお風呂があるのですか?

当館には以下の7つのお風呂がございます。

・花乃湯  ・・・女性用浴室
・大乃湯  ・・・男性用浴室
・源乃湯  ・・・露天風呂風の大風呂ですが2023年2月より貸切利用ができるようになりました。源泉から直結かつ自然流下で引湯。
・山里乃湯 ・・・露天風呂(洗い場は有りません)玄関から徒歩3分ほどの裏手の山際に有り、周囲は四万の野山の雰囲気です。5月は新緑やつつじが綺麗です。

●貸切風呂
・古式風呂 一乃湯(石の浴槽)源泉から直結かつ自然流下で引湯
・古式風呂 二乃湯(檜の浴槽)二乃湯は修理中で、お休みです。3~4月ごろに完了の見込みです。
・古式風呂 三乃湯(檜の浴槽)               
冬の山里乃湯

湯守としての仕事の一つは、温度守

ー「湯守としての仕事の一つは、温度守」というフレーズがJRのHPにありましたが、温度についてはどのようなこだわりがありますか?

湯守 田村さん
「湯加減」の事ですね。一年中、常に41℃が良いとばかりには考えていません。同じお風呂でも、夏と冬では気持ちよく感じる温度が異なります。また湯上りのことも考えると、夏はかなり控えめな温度を目指します。冬はもう少し高い方が満足感があると思いますが、ゆっくり入っていられる程度が上限です。また内湯と露天でも異なります。冬の露天風呂は入りやすく、そして上がるときには満足感がある温度が理想なのですが、なかなか難しいです。なるべく加水をせずに湯加減をしたいので、「先人の小技」を駆使します。
冬の山里乃湯

温泉に入ってのんびり過ごす

ー季節ごとの魅力、楽しみ方はありますか?

湯守 田村さん
春、4月下旬から5月は桜や新緑の綺麗な時期です。また気候的にも穏やかで露天風呂に入るにも、散策にも適しています。地元に暮らす私はこの時期が最もお勧めしたい時期です。2月は、昔は「寒湯治」(かんとうじ)という言葉があり、寒い時期にはお風呂にじっくり入れるということです。温泉そのものを堪能するのであれば、冬から早春が良いです。

ー団体の受け入れをせず、家族連れさまの宿泊が多いとのことですがなぜでしょうか。また1名様でも歓迎いただけるでしょうか?

木造の建物のため、団体やグループで賑やかにお過ごしされると、近隣のお部屋に音や振動の影響が出てしまいます。平素、当館をご愛顧くださっているのは、温泉に入ってのんびり過ごそうという個人のお客様です。この方々がゆっくり過ごせるよう団体の受け入れは行っておりません。また1名のお客様も歓迎しています。1名で温泉旅行をされる方は、温泉に入ってのんびり気ままに過ごしたいという目的の方が多いですので、当館は一人旅のお客様と相性が良いと思っています。繁忙期の週末や年末年始、GW,お盆期間以外は、1名様での設定があります。また、1名様で素泊りでという設定のある日もあるので、「温泉命」という目的のご旅行もどうぞ。

朝食には鍾寿館こだわりの朴葉味噌

ー夕、朝食それぞれどのようなものを楽しむことができますか?

湯守 田村さん
あっさり系のお料理だと思っています。塊のお肉というよりも野菜の素材は多いです。山の素材は意識しています。ほとんどの品物は板前が手をかけたものです。
朝食の朴葉味噌
また朝食に、朴葉味噌が定番です。朴葉味噌は飛騨地方の名物ですが、先々代が子供のころに(明治~大正時代)、裏の山の朴の木の葉を拾ってきて、その上に、手近にある野菜やキノコを刻んで、お味噌を載せて、火鉢の上であぶって、おかずにしたという話を聞いたことがありました。それを思い出して、飛騨地方へ行って、朴葉味噌を何軒か梯子をして、勉強させていただきました。その結果、当館では、お肉や魚を入れずに、味噌が主役の焼き味噌として、朝食のおかずとしました。甘じょっぱい味噌が焦げる香りが食欲をそそり、とても、ご飯が、進みます。

4月下旬から5月中旬頃は四万ブルーの見頃

四万ブルー
ーおすすめの四万温泉の観光スポット、楽しみ方はありますか?

湯守 田村さん
四万温泉の奥の「奥四万湖」は、この時期が美しい景色でお勧めです。周囲の新緑と湖水の美しいブルーの色は、ポスターやテレビCMにも取り上げられました。4月下旬から5月中旬頃は湖の水位も高いので特に見栄えが良いです。当館から奥四万湖までは歩くと60分くらいかかるのですが、当館から6~7分の四万温泉協会でレンタサイクルを借りることが出来ます。電動アシスト付きを、お勧めします。また、四万川の流れの水は、透明で「清流」という表現がぴったりです。御散策の際には、ちょっと足を止めて、眺めてみてください。

湯守のこだわりとは?

ー最後に、湯守としてのこだわりや思い、お客さまへのメッセージをお願いします。

湯守 田村さん
湯加減は、機械的なものを導入してないので「手加減」です。気温や湿度に影響を受けたり、地震によって、湧出量が急に変化することもあります。お風呂が何か所もあり一人では間に合わないので、当館では私を頭とする湯守り衆という形をとっています。余談ですが、私は「ぎっくり腰」でダウンしたときに、お風呂に入っている間は体を動かすのが楽でお風呂から上がった後も何時間かは楽でした。体が冷めてきて腰がシクシクしてきたら、またお風呂に入ります。そうして、一日に4回くらい、お風呂に通っていると、結局、一日を辛くなく過ごすことができました。そうして、3~4日間、続けているうちに、腰が楽になりました。「これが湯治なのか!」と、その時に実感しました。当館に限ったことではありませんが、正しく提供されている「本物の温泉」には「力(ちから)」が有ります。各地の温泉は異なる「力」を持っているので、是非、体験してください。各地の「本物の温泉」を体験するには「地・温泉」です。
ロビーには飲泉所も

ぜひ「四万温泉 鍾寿館」へ

いかがでしたでしょうか?今回は群馬県の「四万温泉 鍾寿館」について、詳しくお話をお伺いしました。
首都圏からほど近く、温泉と豊かな自然をゆっくりと味わえる「四万温泉 鍾寿館」に足を運んでみてはいかがでしょうか?
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◆次回予告◆

連載、湯守に聞く「地・温泉」の魅力 では、今後も東日本の「地・温泉」の魅力を皆さまにお届けします!次回以降もお楽しみに♪
「地・温泉」について、詳しく知りたい方は下記のリンクボタンよりご確認ください。
JR東日本HP「地・温泉」
取材協力:鍾寿館
※画像はすべてイメージです。

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