高輪で歴史と未来を感じる!過去の記録と最新技術で【高輪築堤】を知る
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築堤は大正時代に東京湾の埋め立て事業とともに姿を消していましたが、2019年、品川駅の改良工事の際に高輪築堤の石垣の一部が発見されました。場所は、現在の高輪ゲートウェイ駅の周辺、田町と品川の間にあたる地域です。そして発掘されたこの歴史的遺構は、「旧新橋停車場跡及び高輪築堤跡」として国の史跡に指定されました。
そんな高輪の街には、かつての人々の暮らしや鉄道の歴史に触れながら、今の最新技術で過去を身近に感じることができる場所があります。歴史と未来が交わる体験を高輪の地でしてみませんか?
日本初の鉄道は海の上を走った!
しかし、政府が鉄道建設を決定した後も莫大な建設予算に対する反対の声が多く、さらに東海道沿いには旧薩摩藩邸や兵部省といった当時の行政機関による軍用地が存在していたため、鉄道用の土地を確保することが難しかったと言われています。そこで、「鉄道の父」と言われている井上勝は、鉄道建設に積極的だった大隈重信とともに、鉄道用地の確保が難しい地域を避けるため、高輪築堤の建設を進めました。
「海の上にレールを敷く」と聞くと、埋め立てて線路を作るイメージがありますが、土地を埋め立てるのではなく、海の上に鉄道のレールだけを支える石積みの堤を築きました。その石積みは、日本の城壁に見られる石積みの伝統技術を活かして造られ、そしてその上にイギリスから輸入されたレールが敷かれ、そこを蒸気機関車が走り抜けました。日本の伝統技術と西洋の近代技術が織りなすこの高輪築堤は文明開化の象徴であり、イノベーションの証として今も大切にされています。
鉄道を走らせるためだけではない!高輪築堤の持つ役割とは?
この絵の中に描かれた築堤を見ると、船が行き交えるように築堤の下に橋が設けられているのがわかります。これは見た目を飾るためのものではなく、かつてこの地で暮らしていた人々の生業であった漁業を妨げないように、船が通れるようにするためでした。高輪築堤が持つ、こうした機能的な役割が垣間見えるのも高輪築堤跡の大きな価値の1つと言われています。

昔にタイムスリップ!?海の上を走る蒸気機関車が現在でも見られる場所
鉄道開業期からこれからの未来までどのように乗り物が進化を遂げ、私たちの暮らしを豊かにしているのかを写真やイラスト、AR体験等を通じて知ることができますよ。高輪リンクラインには発掘された高輪築堤の石の一部が使用され、築堤の石積みを再現したデザインになっていたり、地面には当時と同じ位置にレールが組み込まれていたりと歩くだけでも歴史を感じる空間です。見どころがたくさんある中でも特におすすめしたいのが、「築堤と機関車」というAR体験です。
高輪リンクラインの仮囲いや地面に貼られた二次元バーコードをスマートフォンで読み込み、画面の指示に従って操作すると、なんと!高輪築堤がスマートフォンの画面に現れ、地面に埋め込まれたレールの上を蒸気機関車が走り出します。「ARと言ってもただの映像でしょ?」と思うかもしれませんが、実際に体験すると「おお!」と思わず声をあげてしまうほどの迫力です!音声ナビゲーションとともに歴史の解説もあるので楽しみながら高輪築堤の歴史を知ることができます。高輪リンクラインの仮囲いには明治時代から現代に至るまでの生活やモビリティにまつわるクイズや豆知識なども紹介されていて、楽しく学べる仕掛けが満載です。TAKANAWA GATEWAY CITYへお越しの際は、ぜひこの場所ならではの体験をお楽しみください。
また、鉄道開業期に走っていた1号機関車(150形蒸気機関車)は現在、埼玉県・大宮の鉄道博物館に展示されています。「もっと鉄道の歴史を感じたい!」という方は、ぜひそちらにも足を運んでみてはいかがでしょうか。
参考文献:港区ホームページ、文化庁広報誌「buncul」、TAKANAWA GATEWAY CITYホームページ

港区立郷土歴史館で歴史の奥深さに触れる
まず、注目すべきは、港区立郷土歴史館の建物です。1938年に建てられた「旧公衆衛生院」を保存・改修し、活用しています。現在では、港区指定有形文化財として、建物そのものが貴重な歴史の一部となり、建設当時の姿を可能な限り残しながらも、現代に寄り添い、歴史とともに愛されています。

港区の歴史に触れる
「歴史の知識がなくて楽しめるか不安」という方も、心配ありません。展示室の多くにはタッチパネルが設置され、映像や音声でわかりやすく解説が流れます。目の前の展示に自然と引き込まれて歴史の面白さに触れることができますよ。さらにプロジェクションマッピングやAR映像といった先端技術が、昔の暮らしや出来事を立体的に伝えてくれます。
常設展示は、大きく3つのテーマで構成され、その中でもさらに小テーマが散りばめられています。古代、中世、近世など時代ごとに追っていくのではなく、心に惹かれたテーマから自由に見てまわれるのも、この歴史館ならでは。歴史と、自分との距離がぐっと近づくような体験が待っています。


史料で見る高輪築堤
また別の展示室では、高輪築堤が築かれる前の地図も公開されていて、東海道沿いに建つ薩摩藩邸の姿など、当時の港区のようすを想像できます。「鉄道用地の取得が困難な地域を避けて鉄道を通すため」という、そんな高輪築堤の歴史も垣間見えます。港区立郷土歴史館では季節ごとにさまざまなイベントなども行われているため、訪れる前に最新の情報をチェックしておくとより充実した時間を過ごせますよ。
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●所在地
〒108-0071 東京都港区白金台4-6-2 ゆかしの杜内
●アクセス
電車でお越しの方:東京メトロ南北線・都営三田線 白金台駅 2番出口 徒歩1分
バスでお越しの方:都営バス・東急バス 白金台駅前停留所 徒歩1分
●開館時間
午前9時~午後5時(土曜日のみ午後8時まで)
※有料展示室の入館受付は閉館の30分前まで。
●休館日
毎月第3木曜日(祝休日等の場合は前日)
年末年始(12月29日~1月3日)
特別整理期間
※本記事の内容・サービス等は変更している場合があります。
※画像はすべてイメージです。
歴史と今、そして未来が交わる高輪の地
ぜひ歴史と未来が融合し、イノベーションが生まれ続ける高輪エリアで、歴史、現在、そして未来を楽しむ充実な1日を過ごしてみてはいかがでしょうか。

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●所在地
〒108-0074 東京都港区高輪2丁目21番1号
●アクセス
JR「高輪ゲートウェイ駅」改札より徒歩1分
都営浅草線、京急本線「泉岳寺駅」A2出口より徒歩3分※本記事の内容・サービス等は変更している場合があります。
※画像はすべてイメージです。
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