昼と夜で表情を変える、「天下の奇祭」とも呼ばれる春祭りの見どころ【古川祭】

岐阜
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2024/04/12

12～3月頃まで雪で埋もれる飛騨地域にとって、長く厳しい冬が終わり、雪解けの4月、飛騨の方々にとって命ともいえるお祭りを地域総力戦で行います！春の訪れに感謝し、五穀豊穣を願う祭りから1年がスタートいたします。

飛騨市で毎年4月19日～20日に開催される「古川祭」は、町内にある気多若宮神社の例祭で、ユネスコ無形文化遺産や国の重要無形民俗文化財にも指定されています。古川祭には大きく分けて３つの行事があり、神社での神事や古式ゆかしい「御神輿行列」、絢爛豪華な屋台が集結する「屋台行列」、さらし姿の男たちが太鼓を打ちながら町を練り歩く「起し太鼓」と、２日間に渡って盛大な時代絵巻が繰り広げられます。

祭りの見どころはたくさんありますが…３つの行事に分けて、それぞれご紹介します！

厳かな「御神輿行列」

まずは19日、気多若宮神社本殿にて厳粛な神事が執行されます。（神事は非公開です！）雅楽や舞が奉納され、ここから祭りが始まります。
神さまが通る参道を清めるため、獅子舞の奉納や闘鶏楽（とうけいらく）の鐘の音が鳴り響き、祝詞をあげ、神社から神輿へ神遷し（かみうつし）が行われます。伝統的な衣装を身にまとった氏子たちが神社を出発して町を一巡。300名ほどの御神輿行列が練り歩きます。神輿は御旅所で泊まり、翌日20日に出発し、雅楽や獅子舞などの見どころを交えながら町内を巡行しながら神社へと帰っていきます。

“静”の「屋台行列」

東西文化が融合した結晶である古川の屋台は、江戸からもたらされたものが飛騨の匠の手によって高められ、京都のからくり人形が加わることで独特の形となりました。屋台は神輿行列の露払いを担っており、明示時代までは実際に先導していたんだとか。現在は、各屋台の名前を記した旗がその役割を代行しています。
19日には10台の屋台がそれぞれの地域で曳行され、20日には取り決めた場所で曳揃えが行われます。磨き上げられた漆や彫刻、木彫装飾など、技術の粋を極めた美しさは情緒ある古川の町並みによく似合いますね。あちこちの辻ごどに青龍台、麒麟台のからくりや、白虎台の子ども歌舞伎の奉納があり、絢爛豪華な時代絵巻を展開します。夜に行われる夜祭では、屋台が提灯を灯し、小さく揺れる提灯に照らされた屋台は、日中とはまた違った表情を見せてくれます。

“動”の「起し太鼓」

19日の夜。数百人の裸男たちによる祝い唄の唱和で「起し太鼓」の幕を開けます。大太鼓が動き出すと、それを追って各組の付け太鼓が勇ましく突き進む攻防戦が夜遅くまで続きます。付け太鼓と呼ばれる小さな太鼓を大太鼓の最も近い位置につけて進むことが名誉とされていて、激しい先頭争いが繰り広げられるのです！
起し太鼓が始まる20時前に、12の付け太鼓が威勢良く「とんぼ」を披露します。その後、祝詞→玉串奉奠→総司挨拶（起し太鼓仕切り役）→祝い唄「若松様」→打出しという流れで、起し太鼓が始まるという高揚感で一気にボルテージがあがります。数百人の男たちが集まり、若松様を熱唱する姿は圧巻です！起し太鼓と付け太鼓の攻防が始まると、100人以上で担がれた櫓に12の付け太鼓が襲いかかり、意地と威信をかけて荒々しい争いに…！裸男たちがぶつかり合う、激しく勇ましい様子をぜひ間近で体感してみてはいかがでしょうか。