津軽地方独自の庭園様式が残る【金平成園(澤成園)】【青森県黒石市】

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金平成園(澤成園)と岩木山
青森県黒石市にある国の名勝である金平成園(澤成園)。弘前を中心とした津軽地方に残る「大石武学流」の代表的な作庭様式の庭園です。2023年度は4月18日~11月30日まで一般公開されています。

100年以上の歴史がある庭園

作庭を命じた加藤宇兵衛
金平成園は黒石出身の政治家であり実業家でもある加藤宇兵衛の求めに応じて、明治25(1892)年に作庭が開始されました。作庭に着手したのは高橋亭山(たかはしていざん)という人物でしたが、完成を待たずに亡くなったため、彼の弟子たちが引継ぎ約10年を掛けて完成させました。

金平成園の名前の由来は「万民に金が行き渡り、平和な世の中になるように」という意味が込められています。庭園にある旧加藤家住宅は主屋、離れ、茶室で構成され、茶室は特に宇兵衛の別荘や迎賓館として使用されました。住宅内の見学も可能で、部屋から眺める庭園の景色に魅了されます。
旧加藤家住宅内の様子。金色の襖が際立ちます。

大石武学流(おおいしぶがくりゅう)とは

大石武学流は江戸時代末期から近代にかけて、津軽地方一円に広まった作庭流派です。

大石武学流の特徴

・飛び石列から小高い築山まで、主屋座敷からの観賞上の軸線を設けること
・自然石を組み合わせた野夜燈(やどう)という燈籠(とうろう)が必ず置かれていること
・一定の型に沿って、大小さまざまな石を配置するという特徴を持っていること
などが挙げられます。

園内では写真のような野夜燈や遠山石がしっかり残っています。金平成園は現在でも大石武学流庭園に特徴的な石組などが良好な状態で残されていることから、平成18(2006)年に名勝に指定されました。大石武学流を知るうえで欠かせない素晴らしい庭園です。
庭園に欠かせない野夜燈(やどう)

2種類の観賞方法で楽しむ

金平成園では2種類の方法で観賞を楽しむことができます。1つは主屋座敷から庭園を眺めることです。地域独自の様々な特徴をもつ庭園を当時の人々と同じように眺められて、どこか懐古的な感覚を覚えます。もう1つは池泉を回遊しながら観賞することです。座敷から沓脱石にわたって、飛び石の上から庭園を観賞したり、野夜燈や遠山石といった特徴的なものを間近で観察したり、実際歩いて体感できるのはとても興味深いです。ぜひ2つの異なる観賞方法で庭園の魅力を堪能してくださいね。
住宅から眺める庭園の様子
岩木山を模しているとされる遠山石

様々な植物を楽しむ

園内にはクロマツやサルスベリなどが植栽されており、木石組と一体となった様子を観賞できます。ほかにもサクラ(園外)やツバキ、モミジやチャボヒバの木々も植えられ、季節によって様々な種類を楽しむことができます。さらに天候が良ければ、主屋と庭園、岩木山が一緒に映った風景を見ることができますよ。ぜひ庭園の風情や歴史を楽しみに来てみてはいかがでしょうか?
ピンク色の牡丹の植樹

周辺地域の大石武学流庭園について

黒石市には金平成園のほかに、老舗の鳴海醸造店敷地内にある鳴海氏庭園などもあります。国の登録記念物にもなっている美しい庭園です。近くまで来た際は隣市の盛美園と合わせて庭園巡りをして、津軽の歴史に触れてみるのも面白いですね。
国の登録記念物でもある鳴海氏庭園
参考HP(黒石市役所HP)はこちらから
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