【海里】で感じる新潟と庄内の花街文化!日本海ビューダイニング「海里」をもっと楽しむスポットもご紹介

  • 新潟
  • 特集
新潟県と山形県庄内地方を結ぶ「海里」はJR東日本の観光列車「のってたのしい列車」の1つ。笹川流れなど日本海の景色や田園風景を眺めながら新潟と庄内のお料理を味わう贅沢な旅が楽しめます。今回は海里の乗車レポートから車内で見ていただきたいポイントや提供される料亭のお料理、その料亭が新潟の花街にあることにちなんで花街文化を感じるスポットなどもご紹介!この記事を読めばもっと海里が好きになる!楽しめる!豆知識まで大公開です。
桑川駅での海里

「海里」とは

海里は金・土・日・祝日を中心に、新潟駅と酒田駅(山形県)の日本海沿いを約3時間かけて走る観光列車。「新潟の食」「庄内の食」そして「日本海の景観」がコンセプトとなっていて、地元の海や里の食、景色を楽しめるようにという思いから「海里」という名前がつけられました。
車両の外装
海里は4両編成で、1・2号車は普通車指定席、3号車は売店やイベントスペース、4号車はダイニング車両です。4号車のダイニング車両の座席は、旅行商品として食事やドリンクがセットで販売されています。

新潟発/酒田着の往路では新潟の古町花街にある100年以上続く歴史と格式ある料亭が調理した新潟ならではの日本料理、酒田発/新潟着の復路では、庄内地方で世代を超えて栽培され、人々に親しまれてきた「在来作物」や「生産者との絆」にこだわった珠玉の庄内イタリアンとドルチェ詰め合わせを味わうことができます。また季節に合わせてメニューが変わるので乗車時期によっていろいろなお料理が楽しめるのも嬉しいポイント。
ダイニング車両の2人席

新潟駅から乗車!

今回は新潟発/酒田着の往路に乗車しました。海里は10:11に新潟駅を出発します。
新潟駅の駅スタンプは、海里のお料理を担当する料亭がある古町花街がデザインされています。駅スタンプは駅たびコンシェルジュ新潟の目の前にある在来西改札横でゲットすることができました。

ホームに上がり海里の入線を待っていると、電光掲示板に海里の正面がデザインされたマークが出現!特別感があって入線前から気分を高めてくれますね。
新潟駅の駅スタンプ
電光掲示板
この日は9:51に新潟駅の4番線に入線しました。海里の写真撮影はこのときがチャンス!海里と並んで写真を撮ってみましょう!運が良ければ乗務員の方と記念撮影ができるかも。
入線した海里
車両の外観は「夕日」をイメージしたサンセットオレンジから「新雪」をイメージしたホワイトへのグラデーションで表現されており重厚感が漂います。先頭や車体についているヘッドマークもまた美しく、これは水引をモチーフに雪の結晶がイメージされ、豪雪地域である新潟・庄内地方で人々が助け合う「結いの精神」と様々なものが結びついたおもてなしの心が由来です。また、屋外の光を取り入れ風景との一体感を作ることで、新潟の新たな景色を創出してくれるデザインになっています。
「海里」ロゴ
夕日と新雪がイメージされたグラデーション

「海里」特有の出発合図・銅鑼

10時を過ぎたころ、最後尾の車両から車掌が円盤のようなものを持って出てきました。こちらは銅鑼という楽器で、新潟駅と酒田駅で出発の合図として鳴らされる楽器です。銅鑼はもともと東洋独特の文化で船の出港の合図として用いられていました。旅の安全祈願に銅鑼を鳴らしていたことから、海里でも車両のドアを開ける際に、銅鑼を鳴らして乗客をお出迎えしています。たたく回数は「か・い・り」で3回!粋な演出ですね。日本海を旅する海里にふさわしい出発合図です。
銅鑼を叩く様子

車内の様子

4号車は「新潟・庄内の食」を存分に堪能いただけるダイニング車両です。食事とドリンクなどをセットにした旅行商品を購入した乗客専用。2人掛けと4人掛けを備えた景観を楽しめる配置になっています。テーブルの上には海里のロゴが入ったお品書きやコースターがセットされており、記念に持ち帰ることも出来ますよ。
2人席
ロゴがついたコースターやお品書き
照明の演出にもこだわりがあって、オレンジ色のライトがまるで日本海に沈む夕日のようです。また車内には運転席からの景色も楽しめるよう、列車の正面に設置されたカメラから映像がライブ配信されているモニターがあります。

日によって、出発する際に駅員の方々がお見送りしてくださることも!窓からみなさんに手を振って列車旅の始まりです!
夕日がイメージされた照明
運転席からの景色が楽しめるモニター

豊富な種類のウェルカムドリンク

乗車から約20分でウェルカムドリンクが運ばれてきました。海里オリジナル天然水1本に加え、3種類の飲み物(地ビール・地酒・ソフトドリンク)から1種類選ぶことが出来ます。「エチゴビールピルスナー」という地ビールは、ほどよい苦味がありながらも飲みやすかったです。地酒は「大洋盛」という飲み飽きしない淡麗辛口の日本酒。ソフトドリンクは「村上茶」と「雪色ソーダ」の2種で村上茶の香りを味わうことも、雪色ソーダのお米に似たほんのりした甘みを味わうこともできます。

往路と復路でウェルカムドリンクの内容も変わるので、往復乗車をして全部味わってみたいですね!
ウェルカムドリンク

お料理が登場!

10:30ごろにお料理が運ばれてきました。海里の往路では100年以上続く歴史と格式ある3つの料亭(鍋茶屋・行形亭・一〆)が調理した、新潟ならではの日本料理が四季折々のメニューで提供されます。

この日提供されたお料理は、江戸末期創業の新潟古町を代表する老舗料理のひとつ「料亭 新潟 鍋茶屋」の夏メニュー。また食器類は、新潟市で創業130年を超える「大橋洋食器」が作っているものです。海里のコンセプトである「日本海の景観」を思わせる雪見障子のような組子細工のプレートを2段重のふたに使用していて、とても高級感のある器です。
「大橋洋食器」が作る組子細工の食器
蓋を開けると美味しそうなお料理が詰められています。2段重の中身は季節に合わせた旬の食材が色とりどりに盛り付けされており、この日はナスやズッキーニ、とうもろこしなど、夏を感じるお野菜がふんだんに使われていました。煮物は優しいお出汁がきいていてとっても美味しい…。新潟和牛のローストビーフは噛めば噛むほど美味しさがにじみでてきます。合わせるソースも相性バッチリ!
日本料理の良さが詰め込まれていたメニューでした。早めのランチタイムでしたがあまりの美味しさにペロリと食べきってしまいます。

また味はもちろんのこと、淡い紫色の花穂が添えられている小鉢や、楓の形のお麩が入った炊合など、目で見ても楽しめるお料理たちです。美しい景観を眺めながら料理を堪能できること間違いなしですね。
「料亭 鍋茶屋」の夏メニュー ※お食事メニューの詳細は最新情報をご確認ください。
【海里】お食事メニューはこちらから

流れゆく田園風景と日本海

村上駅を出てから見ることができる、海里の醍醐味・日本海の絶景と、大きな窓から越後、庄内平野、出羽三山などの自然豊かな田園風景も見どころです。また、桑川~越後寒川間での笹川流れをより楽しめるように、海里はスピードを落とし徐行運転を行うので、ゆっくりと景色を眺めることができます。
日本海の絶景
自然豊かな田園風景

日本海の絶景!笹川流れ

11:30ころに桑川駅に到着しました。笹川流れがよく見える桑川駅では約30分ほど停車時間があり、ほとんどの乗客が駅を出て笹川流れを見に行きます。

海里の魅力は何といっても日本海の景色。四季の移ろいによって表情を変える日本海は趣があり、まさに絶景。笹川流れは、海水の透明度が高く澄んだ青い海と、日本海の荒波の浸食によってできた様々な形をした岩の眺めが美しい人気の観光スポットです。
「夕日」がイメージされた海里停車駅の駅名標
桑川駅の「ゆうひ」の待合室
改札をくぐると目の前には日本海!また「道の駅笹川流れ」が併設されていて、1階にある「Café R Sun45」では「日本海ソフトクリーム」が味わえたり、季節によってはもずくの味噌汁やお土産なども販売しています。オススメは海里停車時間限定のスペシャルソフトクリーム!濃厚な北海道ソフトクリームに紅はるか焼きいもペーストを乗せ、醤油をかけ、笹川流れのもずくを使った「もずくっきー」が添えられた贅沢なアイスです。濃厚なアイスと焼き芋の相性は抜群!もずくっきーはサクサクしていてアイスにぴったりです。
笹川流れ
海里停車時間限定のスペシャルソフトクリーム

デザートに舌鼓

桑川駅を出るとデザートの水菓子が運ばれてきました。杏仁豆腐や旬の果物を使った水菓子は、絶妙な甘さで最後までぺろりと食べれてしまいます。デザート用のドリンクは「雪室珈琲」か「村上茶」が選べます。雪室とは雪の力で冷やした天然の冷蔵庫で食品を保存する雪国古来の知恵。珈琲豆の熟成時に発生する不快臭が雪の力で抑えられ、まろやかに変化するそう。村上茶は新潟県村上市で江戸時代から栽培されていたお茶で強い甘味が特徴です。

カトラリーも海里オリジナルのデザインで、ほど良い重さのある鉄器を使用。フォークとスプーンのセットは売店で販売されています。お家でも海里気分が楽しめそうですね!
海里の水菓子

3号車では「海里」グッズを販売!

3号車の売店では海里オリジナルの「手ぬぐい」「キーホルダー」「カトラリー」などオリジナルグッズが販売されていました。お土産にちょうど良いですね。また売店の横にはイベントスペースがあり、乗車記念パネルとともに記念写真が撮影できますよ。

※オリジナルグッズの販売状況は在庫状況により異なります。
売店
イベントスペースも夕日モチーフ

1号車と2号車は普通車指定席

1号車と2号車は指定席券と乗車券で利用することができます。1号車は座席を窓に向かって3度傾けたこだわりの設計で、大きな窓から雄大な景色を臨むことができます!2号車は全席4人掛けのコンパートメントシートになっていて、座席を引き延ばせば、足を伸ばしてお座敷のようにくつろぐことができますよ。また2号車では夕日をモチーフにした内装を見ることができます。壁の色と照明の美しいグラデーション効果で日本海に沈む夕日が表現されていて、暗くなるトンネル内では特に綺麗に見えます。
2号車通路の夕日モチーフ
1・2号車を利用する場合は、数量限定の海里オリジナル弁当を楽しむのもおすすめです。オリジナル弁当はスマートフォン専用サービス「うけとりっぷ」から注文することができますよ!

うけとりっぷとは

2023年3月から始まった新サービス!沿線のお弁当やスイーツ、飲料などをスマートフォンから事前に予約・決済することで、旅先の駅や列車内で簡単に受け取れるサービスです。
【うけとりっぷ】公式サイト
※スマートフォンからご覧ください。

乗務員とアテンダントの制服にも「海里」ロゴマーク

海里は乗務員の制服も特別仕様。黒、金、真紅を組み合わせた海里の乗務員のために作られた制服です。アクセントになっている海里と同じオレンジ色や、高級感があるゴールドのボタンやチェーンがおしゃれですね!このチェーンは車掌の制服のみについていて、乗務に欠かせない懐中時計の鎖がイメージされています。

アテンダントの制服はスカーフがおしゃれな海里のオレンジ色エプロン!よーく見てみると海里のロゴ柄になっています。
「海里」車掌の制服
「海里」アテンダントの制服
また海里では車掌だけではなく運転士も車内放送をしてくれるんです!新潟や庄内の観光情報やこの地域に住んでいるからこそ知っていることなどをお話してくれます。

今回は新潟の枝豆のお話でした。枝豆が美味しい新潟は枝豆の消費量が都道府県別で見ると1番多いそう!約40種類もの枝豆が生産されており、新潟では1年のうち半分が枝豆の旬。この日の運転士さんは「弥彦娘」という品種がおすすめとのことでした。
新潟駅で枝豆オブジェ発見

乗車時間は約3時間!酒田駅に到着

列車は13:27に酒田駅に到着。約3時間があっという間に感じてしまいました!酒田市は江戸から明治時代にかけて日本海海運で活躍した北前船の寄港地として栄えた歴史があり、駅構内にはその歴史を感じるオブジェが飾られています。
酒田駅ホームのオブジェ

酒田駅と新潟駅周辺!海里を感じるスポット

海里の発着駅である酒田駅と新潟駅周辺で花街文化や車内で使われている食器など、海里を降りたあとにも海里を感じることができるスポットをご紹介!
古町芸妓

【酒田駅】湊町・酒田で花街体験

先ほどもご紹介した北前船は京都からも往来していた歴史があります。京都の花街文化から影響を受け、酒田の花街文化も栄えていったそう。その文化も一度は衰退しましたが、現在はかつて酒田を代表する料亭であった「相馬樓」が修復され、酒田舞娘の艶やかな踊りを目の前で見ることができます。

相馬樓は酒田駅から車で約6分。来場時間にもよりますが私たちは運がよく舞娘が受付をしている時間に伺えました!時間帯によっては館内にある「まいこかふぇ」で注文をすると舞娘と記念撮影もできるそう。併設されている竹下夢二美術館では雛人形や古美術品が展示されています。
舞娘茶屋 相馬樓
舞娘演舞写真

【新潟駅】新潟の花街・古町

新潟駅から日本海へ向かって、車で10分ほどの場所にある新潟市古町エリア。ここには京都の祇園、東京の新橋と並ぶ芸妓のまち「古町花街」があります。新潟の料亭が点在する古町花街は、京都や金沢といった茶屋街とは異なり、歴史的景観が残る大規模な料亭が中心の花街として全国随一。

芸妓を呼べる料亭などが集まっているメイン通りは100年以上の歴史と格式ある「鍋茶屋通り」です。江戸時代から商いのまちとして栄えていた新潟では、料亭に芸妓を呼び、客人をもてなし楽しませる場面がよくありました。芸妓とは樽挙(たるけん)という、たるを叩きながらじゃんけんお座敷遊びをしていたのだとか。

現在でも料亭に芸妓を呼ぶこともできます。また古町にある「柳都カフェ」は待合のお座敷の一部をカフェにしたお店。芸妓がお茶やお菓子を運んでくれます。平日のひとときだけの営業ですが、運が良ければ古町芸妓が稽古する三味線や太鼓、笛の音が聞こえてきたり、また料亭へ行き来する古町芸妓に会えるチャンスもあるかもしれません。
古町花街
古町芸妓 Ⓒ新潟観光コンベンション協会

【新潟駅】主役は食器!大橋洋食器のカフェ「SAN&CAFÉ」

大橋洋食器は新潟市で100年以上続く老舗洋食器店です。変わりゆく時代の中でもその伝統を守りながら、器を通して新しい価値を創造していくというコンセプトが、海里の目指す方向と一致していたため、海里の車内で提供されるお料理の器に取り入れられました。

本町にある大橋洋食器の2階には、そんな食器を実際に体験できるカフェが併設されています。2022年12月にオープンした「SAN&CAFÉ(サンドカフェ)」は月替わりのデザートと自家製ドリンクがなどが楽しめます。こちらのカフェの主役は食器!食器に合わせてデザートを決められているそうで、食器とデザートがまるで1つのアート、芸術作品のようですね。

※「SAN&CAFÉ」は9月1日から完全予約制に移行予定です。
食器の展示販売
「空うつしのソーダフロート」と「くちどけ桃のタルトレット」
「SAN&CAFÉ」公式サイト

日本海ビューダイニング「海里」で新潟と庄内の魅力を満喫

海里のことをもっと好きになってもらえましたか?海里の外観デザインやロゴに込められた想い、知っていたらもっと海里乗車が楽しくなるよう海里の深い部分も紹介しました。海里に乗車していただくことはもちろんのこと、海里を見かけたら手を振ってみてくださいね。
「海里」乗車記念のパネル
※本記事は2023年6月時点の情報です。
※出発時刻や入線時刻は最新の運行情報をご確認ください。

▼「海里」特集

のってたのしい列車予約サイト
この記事に関連するタグ
前の記事 一覧へ戻る 次の記事
関連記事